ナレッジベースとは?社内wiki|おすすめツール14選(無料~有料まで)
目次
- ナレッジベースとは
- ナレッジマネジメントとは?
- ナレッジベースが注目される理由
- ナレッジベースを構築するメリット
- ナレッジベースを構築するツール
- ナレッジベースツール導入に際しての選定ポイント
- おすすめのナレッジベース構築ツール14選
- まとめ
ナレッジベースとは
毎年新入社員に同じ教育をするために多くのコストがかかっていませんか?
ナレッジベースをうまく活用することで新人教育業務の効率化を図ることが可能です。
ナレッジとは知識(Knowledge)の事です。ナレッジベースは知識ベースとも表現されます。
ベースというのはデータベースの事で、ナレッジベースとは企業において社長や個人が蓄積している知識をデータベース化したものです。
一昔前までは、先輩から後輩へのナレッジの継承は個人に任されていました。
いわゆる、師弟関係に近い状態で、終身雇用が前提の時代においては成立していました。
濃い継承が行われる分メリットもありますが、人材が流動的になってきている現代においては企業にとって不安定な継承と言えます。
人材の移動によってナレッジが失われることは企業における損失です。
そこで注目されているのがナレッジベースです。
近年のITテクノロジーの発展により音声・動画・書面など様々な方法でナレッジをデータベース化することが容易になりました。
多くの社員たちの業務に関する知見をデータベース化することで企業にとっての知的資産を構築することができます。
ナレッジマネジメントとは?
暗黙知という言葉をご存知でしょうか?
教科書には記載されていない、実際の業務によってのみ培われる現場の人間しか知らない知識の事です。
暗黙知を企業で共有することで新たなイノベーションが生まれる可能性があります。
企業においては主に上級者や熟練者が有する暗黙知は社長でも知り得ないような企業にとって大変貴重な知識の宝庫です。
これを個人のスキルとして門外不出にすることが属人化につながります。
特定の社員がいないと仕事が回らなくなるため企業にとっては好ましい状態とは言えません。
この暗黙知を文章や音声・動画などによってデータベース化することで企業内の底上げだけではなく、新しいイノベーションが生まれることで企業の発展につながるのです。
このように、暗黙知を共有できる形にしたものを形成知と呼びます。
形成知を会社で共有し活かす手法の経営方法をナレッジマネジメントと呼びます。
ナレッジベースが注目される理由
1人の職人が定年まで雇用され、その培ったノウハウを退職までに一人の弟子を育ててくれればナレッジベースの必要性は低くなります。
このような伝統工芸の継承のようなシステムが現代では成立しにくくなっているため、ナレッジベースが注目されるようになっています。
人材が流動的になり入退職が多くなっている
終身雇用の崩壊、年功序列の廃止など、高度経済成長期を支えてきた2大雇用体制が破綻しつつあります。
戦後の不安定な時期には安定した職があることが望まれていましたが、現代は企業に依存した働き方には否定的な意見が多くあります。
副業解禁も人材の流動性を加速させた要因です。
気軽に転職できる時代であり、長く組織に残ってくれる人材が優秀とは言えない現在の企業において、ナレッジベースの構築の重要性が高まっています。
退職により社内のノウハウが蓄積されないということは自社において損失とも言えます。
さらに、少子化により今後は生産年齢人口が減少します。
少ない働き手の中で優秀な社員を雇用し続けることは困難になってきます。
特定の社員がいなくても、企業において必要な仕事が回り、さらに発展させることができる可能性を有しているナレッジベースを構築することの重要性が高まっています。
良い人材をとりあう時代になっている
優秀な人材ほど幅広く働きたいと思っていますので、一社に在籍し続けることを好みません。
新型コロナウイルス感染症の拡大によりテレワークが普及し、メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用に進みつつあります。
ジョブ型雇用においては特定の技能を有する人材を採用するため、優良な人材を雇用することが難しくなります。
人材が流動的になってきている時代において、ナレッジベースを構築しないと暗黙知が蓄積されません。
暗黙知を個人の中だけに置いておかず、企業が形成知を活用することは今後欠かすことはできないと言えます。
同時に、ナレッジ共有をしていることが組織基盤がしっかりしていることの証明にもなり、良い人材の採用にもつながる可能性があります。
働き方の多様化
新卒一括採用という日本ならではのメンバーシップ型雇用から副業・兼業など多様な働き方に変わりつつあります。
働き方の多様化によって、仕事の生産性の向上や、見方によっては有能な人材の確保が容易となります。
その反面、管理職の負担は大きくなると言われており、業務効率改善にも取り組む必要があります。
多様性のある働き方の中でOJTを中心とした現場での教育には限界があり、情報共有の仕組みは必須です。
ナレッジベースを活用することで、新人教育や人事異動による教育業務を効率化することができます。
効率的なだけではなく、教育者によって言うことが異なるということもなくなり、正確な指導が可能となります。
ナレッジベースを構築するメリット
ナレッジベースを構築することは最初は大変な労力になります。
その労力に勝るメリットがないと、ナレッジベースを構築しようとは思いませんよね?
社員の経験によって蓄積された暗黙知を社員が共有できる形成知にするナレッジマネジメントを行うことで以下のようなメリットがあります。
情報共有とナレッジのアップデートスピードの向上
分かりやすい例として、コールセンターがあげられます。
毎日膨大な問い合わせに対応していると、同じ質問がたくさんあります。
このようによくある質問に対しての最適の回答を共有しておくことがナレッジベースの活用事例です。
難解な問い合わせに対しては、特定の知識に長けている社員のみが回答できることがあります。
このような回答を共有しておくことで回答できる社員を増やすことが可能となります。
「この質問に対してはこう回答した方がお客様に伝わりやすいのではないか?」
などの形成知のアップデートも常に行われることでナレッジが廃れることもありません。
業務の効率化
引き続きコールセンターを例に考えてみます。
最近は自動ガイダンスである程度質問を絞ってから人間が対応してくれる企業が増えています。
これは、人間が対応する部分を少しでも減らすことで業務の効率化を図っているのです。
自動ガイダンスを行うためには、過去の質問とその最適解のデータベースを蓄積することが必要です。
膨大な経験を集積することによって自動ガイダンスは成立します。
また、ホームページにQ&Aコーナーを作成し、キーワード検索することができるようにすることで電話での問い合わせを減らすことが可能です。
Q&Aコーナーは「よくあるご質問」などと表現されます、これもナレッジベースの蓄積の結果です。
今や当たり前となっているこれらのサービスも社員の知識を共有しナレッジベースを構築した結果です。
電話対応業務が減ればその分別の業務に時間を割いたり、人件費を減らすことが可能となります。
教育の効率化
教育はかなりの熱量が必要であり、相手によって労力が異なるため企業において重要な業務です。
ここでもコールセンターを例に考えてみましょう。
新入社員に電話対応業務を教える際に、ナレッジベースがなければ問い合わせの都度指導する教育になりがちです。
ナレッジベースがあれば、過去のよくある質問と最適解を見せることで新卒でもすぐに仕事に取り組むことができます。
もちろん、ナレッジベースだけで教育が完結することはありませんが、明らかに初動のスピードは変わってきます。
ナレッジベースを構築するツール
ナレッジベースを構築する方法はいくつか存在します。
それぞれに特徴がありますので、企業の特色にマッチしたニーズに応じたツールをご利用下さい。
データベース型
蓄積したデータを必要に応じて検索して取り出すシステムで知識情報検索型とも呼ばれます。
データベースに蓄積された情報を共有します。
たくさんのデータを扱うことができますし、汎用性が高く応用の幅も広いことが特徴です。
グループウェア型
グループウェアとは社内で情報共有を行うためのツールが複数組み込まれたソフトウェアのことです。
メールやチャットはもちろん、会議室の予約やタスクの管理からファイルの共有まで1つのソフトで行うことができることがメリットです。
似たようなツールに社内SNSがありますが、社内SNSはグループウェアの中のコミュニケーションの機能を有したツールであり、グループウェアはよりビジネスに必要な機能を有していると言えます。
ヘルプデスク型
様々な問い合わせに対するFAQ形式のデータベースです。社外からの問い合わせやクレームだけでなく、社内のシステムや就労規則など様々な面で役に立ちます。
膨大なマニュアルの中から自分の欲しい情報を探すより効率的に答えを見つけることができるようになります。
一方で、メンテナンスを定期的に行いうまく活用しないとコストがかかるリスクもあります。
機械的な対応が増えすぎてしまい応用が効かないスタッフが育ってしまう点にも注意が必要です。
データマイニングツール型
いわゆるビッグデータのようなもので、データベース型に分析機能が備わったものがデータマイニングツール型です。
AIや統計学的手法などによって蓄積された情報を分析し、新たなナレッジを生み出すことが可能です。
専門的な知識や技能が必要であり、社員の情報共有ではなく経営戦略や営業支援に利用されます。
社内SNS型
オンラインでの社内SNSを利用して社員同士がコミュニケーションをとるツールです。
グループチャットや掲示板機能などを用いてアクティブな情報の共有を図ったり社員の円滑な連携を進めることができます。
SNSを利用することが当たり前の時代なので社員は直感的に取り組みやすいことがメリットです。
部署間でうまく活用すれば部署同士の連携やお互いの長所を生かした新しいプロジェクトが生まれるかもしれません。
社内wiki型
インターネットで有名なWikipedia(ウィキペディア)の社内版です。
社内のナレッジを共有・蓄積することで社内のマニュアルやノウハウ集を作成することが可能です。
簡単に情報にアクセスできる検索機能や情報の更新の手軽さがメリットです。
ナレッジベースツール導入に際しての選定ポイント
ナレッジベースツールは無料のものから有料のものまで世の中にはたくさん出回っています。
コストパフォーマンスも重要な要素ですが、自社にとって価値のあるツールかどうかを慎重に見極めて最良のパフォーマンスを発揮できるツールを選びましょう。
機能
企業によって必要な機能は異なります。
自社に必要な機能が備わっているかを他社と比較してどのツールを利用するか決めましょう。
- 社内の誰でも利用することができるか
- 権限を選択することができるか
- タブレットやスマートフォンに対応しているか
- ナレッジの蓄積・更新が簡単にできるか
など広い視点でナレッジベースを構築するために必要な機能が備わっているかを確認します。
見やすさ
見やすさは社員の能力や職業によって違ってきます。
社員全員がITのプロフェッショナルであれば、専門的な画面が見やすい画面と言えます。
自社においてどのようなスタッフが利用するのかをよく考えてツールを判断しましょう。
一度社員に見てもらって反応を見てみるのも良いでしょう、見にくいツールは使われないためナレッジが蓄積されません。
検索性
欲しい情報にすぐにアクセスできるかどうかは重要です。
タイトル検索はもちろん、本文内も検索出来て瞬時に結果を反映できるツールが望ましいと言えます。
おすすめのナレッジベース構築ツール14選
Qast
タイプ:社内Wiki型
費用:フリープラン 0円 10人まで利用可能
スタンダードプラン 720円/1ユーザー/月 20人から利用可能
<特徴・機能>
- とてもシンプルな画面設計なので普段パソコンに不慣れな社員が多い職場でも導入しやすい
- 検索機能が優れており、添付ファイルの文言検索、タグのワンクリック検索、カタカナ⇔ひらがな検索、投稿者検索などが利用できるため欲しい情報にすぐにアクセスできる
- タグで管理できるので一括管理が行いやすく優れたメンテナンス性
- メール・チャットツールと連携することで更新をすぐに通知することができ、閲覧者の把握することも可能
NotePM
タイプ:社内Wiki型
費用:プラン8 4,800円/月 ユーザー数8人まで
<特徴・機能>
- 高機能エディタとテンプレートでバラバラなフォーマットを標準化
- 矢印や吹き出しなどマニュアル作成時に利用したい画像編集機能も搭載、Web上でいつでも作成可能
- すべてのデータの中身も全文検索できるため、欲しい情報にすぐにアクセスできる
- アクセス制限機能、閲覧者確認機能にてページを見た人がわかる
Kibela
タイプ:社内Wiki型
費用:コミュニティープラン 無料 ユーザー数5名まで
スタンダードプラン 550円/月 ユーザー数6名~
<機能・特徴>
- ワードやブログに入力するような感覚でテキストを入力可能
- Excel、CSV、スプレッドシートをコピー&ペーストで表作成可能
- 画像や動画もコピー&ペーストで挿入可能
- 4段階の権限設定機能
- いいね!、コメント機能でディスカッション可能
- SAML2.0認証シングルサインオンで高度なセキュリティ対策
Scrapbox
タイプ:社内Wiki型
費用:個人/教育利用 無料 個人や非営利でのご利用に限定したプランです
BUSINESSプラン 1,000円/月 ユーザー数制限なし 一部追加課金あり
<機能・特徴>
- 単語をカッコで囲むだけのページ間リンク機能
- 複数人で同時編集可能なので相手のレスポンスを待つ必要なし
- ドラッグ&ドロップで画像や動画の挿入が可能
- Slackとの連携が可能
Qiita:Team
タイプ:社内Wiki型
費用:Personal 500円/月 メンバー上限1人
Micro 1,520円/月 メンバー上限3人
Small 4,900円/月 メンバー上限7人
Medium 7,050円/月 メンバー上限10人
<機能・特徴>
- Markdown記法が使えるためテキスト入力だけでマニュアル作成が可能
- テンプレート機能を利用すれば議事録なども簡単に作成・投稿可能
- 検索機能であとから探すだけでよく、階層構造やカテゴリー設定は不要、フィードに投稿するだけでOK
- コメント、メンション機能でコミュニケーション可能
Confluence
タイプ:社内Wiki型
費用:Free 無料 ユーザー数10人まで
Standard 660円/月/ユーザー ユーザー数20,000人まで
<機能・特徴>
- 白紙からの作成はもちろん75を超えるカスタマイズ可能なテンプレートを利用可能
- 直感的なページ階層とラベルによって簡単に検索可能
- リアルタイム共同編集可能
- いいね!やコメント機能によりコミュニケーション可能
- 何百ものアプリと連携することでカスタマイズ可能
esa
タイプ:社内Wiki型
費用:2カ月無料 以後500円/月/ユーザー
<機能・特徴>
- 記事を “WIP(書き途中)” であることがわかるようにした状態で、チーム内に共有できる
- 更新するたびに履歴が残るので安心して更新ができる。巻き戻しも簡単
- 複数人で同時に同じ記事を編集することができる
- 記事のタイトル中に “/” をつけるだけで、簡単、気軽に記事をカテゴリ別に整理できる
Crowi
タイプ:社内Wiki型
費用:完全無料 オープンソースです
<機能・特徴>
- 編集はすべて Markdown で行うため直感的に操作可能
- 編集はリアルタイムでプレビューが見れる
- スラッシュ (/) で終わるページは自動的にリストビューとして生成される
- 「既読の確認機能」や「リアクションボタン」が用意されているため、閲覧状況を把握できる
Knowledge
タイプ:社内Wiki型
費用:完全無料 オープンソースです
<機能・特徴>
- ダウンロードしたファイルを置くだけの簡単セットアップ
- Markdown記法なので直感的に記事の作成が可能
- 記事の全文はもちろん、ExcelやWordのファイルの中身も検索可能
- 記事が登録されるとメール通知、デスクトップ通知などにてお知らせ
- いいね!やコメント機能あり
Zendesk Support
タイプ:ヘルプデスク型
費用:Suite Team $49 ヘルプセンター1つ
Suite Growth $79 ヘルプセンター複数
<機能・特徴>
- コンテンツの更新履歴を時系列で確認できるため、更新の必要性を一目で判断できる
- 言語ボタンを選択するだけで、翻訳された記事にアクセス可能。40カ国以上に対応
- レポート機能により、ユーザーが探している情報や活用状況を可視化できる
Re:lation
タイプ:グループウェア型
費用:要問い合わせ
<機能・特徴>
- マルチチャネルを同じ画面で一元管理することで対応漏れや重複対応を防ぐ
- 様々な形でのお問い合わせを案件ごとにわかりやすくより効率よく対応できる
- お客様の過去のやり取りを把握し社内でスピーディに共有できるため取り違えが起こらない
- 堅牢なセキュリティ機能を多数搭載
Google データポータル
タイプ:グループウェア型
費用:無料
<機能・特徴>
- スプレッドシート、アナリティクス、Google 広告などのデータを簡単に結び付けることが可能
- 様々な角度でデータを分析することが可能
- 必要に応じてデータを変換してわかりやすいレポートを作成可能
Teachme Biz
タイプ:社内Wiki型
費用:スタータープラン 5万円/月
ベーシックプラン 10万円/月
<機能・特徴>
- テンプレートに沿って画像と文字をいれるだけでマニュアルをステップ化できる
- 画像や動画に矢印やテキストを入れることができるので直感的に伝えることができる
- 動画の一部を表紙やマニュアル画像として利用することができる
- マニュアルをPDF化して印刷できる
Aipo
タイプ:グループウェア型
費用:ミニマム 200円/月/ユーザー スケジュール共有と日程調整
ベーシック 350円/月/ユーザー スケジュールの権限管理を強化
<機能・特徴>
- ひとつの画面でチームのメンバーや会議室の予定を確認できる
- 相手がAipoを使っていなくてもURLを送って相手に候補日を選んでもらうだけで日程調整完了
- やりたいことが増えてきたら、使いたい機能を追加できる
まとめ
人の動きが激しくなっている現代において、特定の人材に依存している状態は危険です。
ナレッジベースは現在~未来のビジネスにおいて必須の仕組みと言えます。
ナレッジベースを構築するために自社に必要な機能を有するツールを活用して社内の仕事を円滑にしましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。